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デイ利用者様のご家族とうまく付き合うポイント

 デイサービスをご利用される方には、独居の方もいれば、ご家族と同居されている方もいます。どちらの場合も、不干渉のご家族もいれば過干渉のご家族もいらっしゃいます。今回は、過干渉のケースを中心にどのように付き合っていくべきかを大阪府でデイサービスを運営する株式会社GLOBAL FLATの岡本さんにお話をお聞きしました。

 高齢者の皆様と触れ合う時間はとても楽しく、やりがいを感じながら働いています。しかし楽しいばかりではありません。やはりどんな仕事にもトラブルはあります。介護の仕事は「人対人」、殊に人間関係における問題がほとんどです。ご利用者様同士、ご利用者様とスタッフ、ご利用者様とご家族、ご家族とスタッフ等々実に様々です。今日は実例を挙げてこの問題に向き合っていきたいと思います。

エピソード①

 過保護な娘Aさん。「母は○○な時いつもこうします。△△な時はこうして下さい。そんな時は××な氣持ちでいますので。」といった感じで逐一自分と同じやり方で統一してほしいのです。母のことは娘である自分が一番理解している、自分が最善かつ最適なケアをしていると思い込んでいらっしゃいます。
なので、異なるやり方が許せません。他責的に相手を攻撃してしまいがちです。

ご家族とうまく付き合うポイント①

 専門職の立場から見てよほどという場合を除き、基本的にはご家族にやり方に合わせます。しかし、若手スタッフなど立場的に弱い者を攻撃してくる傾向があるため、そこは慎重な対応が必要です。専門職から見て、医学的視点や介護的視点で間違っている場合は、やわらかくご家族様にお伝えしたり、ケアマネージャーにお伝えしたりします。普段から、ご家族様とコミュニケーションを取りながら信頼関係を構築していくことが大切です。

エピソード②

 常に不安な姉Bさん。ご利用者様である弟様とは住む環境が離れており、サポートができません。過去にアルコール中毒で家庭が崩壊し、生活保護を受けながら遠方で一人暮らしの弟が心配。姉弟ともに高齢になり益々不安が増大しています。不安からとにかく口を出しすぎてしまう。弟様はそれを大変疎ましく感じておられます。

ご家族とうまく付き合うポイント②

 証拠写真や手紙が有効です。楽しんでいる、現地で仲間がいる、予想していたより良い暮らしぶりを認識してもらえれば安心されます。姉からの干渉が減れば、姉弟関係も良好に保たれるため、スタッフは両者の橋渡し役に徹しています。

共通する考え方

私はご利用者様・ご家族・スタッフは図のような関係に位置しているとイメージしています。

縦糸の関係:時が経っても変わらない。家族関係。親と子、姉と弟など。

横糸の関係:時間の経過と共に変化し得る。ご利用者様やご家族とスタッフ。

 「縦の糸はあなた〜🎵 横の糸はわたし〜🎵」と、中島みゆきさんの歌にもありましたね。多くの人の記憶に残るこの歌詞。男女を縦糸と横糸に見立てています。互いが協力して事を成し遂げる、そこに価値があり、大切なものが生まれるのだというメッセージを感じます。
 これを介護の現場に置き換えて考えてみましょう。ご家族様とうまく付き合うには、やはり縦糸の関係性を知った上で、横糸をどう織り成していくかが大事だと言えます。ここにスタッフのコミュニケーション能力や行動姿勢が問われますし、また腕の見せ所にもなります。

 この関係性がうまくいくと、相互理解や相互信頼が高まります。そして、それぞれの想いや立場にも寛容になり、ぶつかり合うことも少なくなってくるでしょう。

 ダニエル・キム教授の成功循環モデルにもあるように、

「関係の質」が高くなると相手を否定せず前向きに捉える→「思考の質」が高くなる→それが各々の主体性を呼び起こし→「行動の質」を高める。相手への行動が良くなると結果→「結果の質」が高くなります。

 「ご家族との付き合い方」の話に組織論を持ち出すのはちょっと違和感を感じるかもしれませんが、私個人としてはこれまでの経験上当てはまると感じています。人と人。つながるコミュニティ。弊社が理念に掲げ最も大事にしていることです。ご本人、ご家族に限らず、相手を理解しようと努力し、関係の質を高めながら働くことができたなら、スタッフ一人一人の行動は変わりきっと良いサービス提供につながると思います。

記事提供者:株式会社GLOBAL FLAT 看護師 岡本 潤

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