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患者になってわかった利用者様の「諦めない気持ち」

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私は、3年ほど前に5時間以上にも及ぶ手術を経験しました。

生まれて初めての手術、そして入院は本当に辛いものでした。

手術後の痛みは寝返りはもちろん咳をするたびに腹部に激痛が走り、痛みで目が覚めてしまい満足な睡眠時間も取れないほどでした。

それでも、その翌日から早速リハビリが始まりました。点滴やバルーンその他、体から出た何本もの管を点滴スタンドにぶら下げてのリハビリです。

手術のわずか3日前には、ジムでハードなトレーニングを2時間近くこなしていたのにこの日は400歩ほどを足を引き摺りながら歩くのがやっとのこと。

奪われた体力は想像を遥かに越えていました。

もう以前のような体力は戻らないのだろうか。仕事にはいつになったら復帰できるのだろうか。今までの日常は戻ってくるんだろうか。

食事も手術の前日からしばらくの間は流動食です。食欲もあるはずもないのでそこは苦痛になりませんでしたが、とにかく術後の痛みが耐え難い。

それでもリハビリは続けました。400歩が翌日には800歩になり日を重ねるごとに3000歩5000歩と歩数は増えていき、術後10日目には10000歩近く歩くことができるようになりました。

朝6時に起床し病院の廊下を歩く。流動食の朝食後にまた歩く。昼食後、夕食前、夕食後。とにかく歩きました。

毎日の歩行は、退院してから職場復帰するまでの約1ヶ月間、1日10000歩から14000歩をただひたすら歩きました。

退院の翌日からジムワークも再開です。腹圧を掛けられないし筋力も落ちているので初めはどの種目も2、3kgの負荷からスタートです。トレーニングではなくまさしくリハビリです。

術後すぐに始まったリハビリですが、何故このモチベーションが保てたのか、その理由は2つありました。

1つ目は、大好きなトレーニングを1日も早く楽しめるようになり、今までの日常を取り戻したいという強い思いが芽生えたからです。

手術から数日後にシャワーを浴びていいよと主治医の許可がおり、久しぶりのシャワーでを浴びに行った時のことです。シャワールームの鏡で目にした自分の体に愕然としました。元々コンテストビルダーだった体は、すっかり見る影もなく萎んでいました。

以前のような体に戻るのかという不安と必ず戻してやるという思いを強く抱きました。

2つ目の理由は、利用者様のリハビリに向かう姿勢です。

私が入職当時から親しく声を掛けてくださる利用者様がいらっしゃいました。

その方は、重度のパーキンソン病で車椅子での生活をされていました。自力で歩行が出来るまでに回復することは、医学的に難しい方でした。

それでも諦めないんです。「俺さ、絶対に歩きたいんだよね」真剣にそして屈託のない笑顔でいつもそうお話されていました。

そんな利用者様たちを応援する立場の自分がこんなリハビリで弱音を吐いたら利用者様たちに笑われる。そんな思いが支えになったことがリハビリを続けていけるモチベーションになった2つ目の理由でした。

これまでは、利用者様とお話をする中で自分の頭の中では理解していたことですが、リハビリをする立場になって、利用者様も同じ気持ちでリハビリに取り組んでいるんだなと実感しました。

以前のように家族と出かけたい、大好きな釣りに行きたい、また散歩できるようになりたい、そんな希望と強い意志がリハビリを続けるモチベーションの一つなんだと思います。

私たちは日頃、利用者様のリハビリや運動の応援をしています。

「さあ、頑張りましょう!」「もっと出来るはずですよ!」

いえいえ、利用者様たちは私たちの思う何十倍も頑張っているんだと言うことを私自身が「患者」になり、身を持ってわかりました。

私が妻に言われて嬉しかったのは、「もっと頑張って」という言葉より「頑張ってるよね」でした。頑張れと応援する言葉も励みになりましたが、成果や過程、そしてその意思や行動を認めてくれた言葉は、さらにやる気を掻き立てられました。もしかしたら利用者様に対する「頑張ってください」というお声掛けは、利用者様にとってはあまり嬉しくないお声掛けなのではないかとも考えてしまいました。

私の周りには、強い意志を持って前向きに頑張っている方達がたくさんいらっしゃいます。

この介護という仕事に携わらせていただき、利用者様たちから、あきらめない気持ちや人生そのものを学ばせていただいた気がします。

健康の大切さありがたさを実感し、あらためて利用者様が健康でいられる事へのお手伝いが今の私の仕事です。

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