運動意欲の低い利用者さんのモチベーションの上げ方
運動意欲って何だろう?
まずは「運動意欲」という言葉から考えていきたいと思います。「意欲」とは、「進んで何かをしようとすること」という意味を持ちます。つまり、「運動意欲」はその名の通り「自ら進んで運動をしようとする気持ち」と意味づけすることができます。
なぜ、運動意欲が必要?
高齢者は、筋肉量や筋力の低下、骨や関節の障害が生じると歩行能力やバランス能力が低下します。結果的に日常生活動作にも悪影響を及ぼし、健康寿命が短くなるリスクが高まります。
それを防ぐには、デイサービスで行っている
「全身運動」
「筋力増強運動」
「ストレッチ」
「有酸素運動」
などが有効になります。筋力増強運動や有酸素運動などは一定の負荷が必要になるため、運動量を確保するという形で対応する必要があります。よって、運動量を確保するためには、「運動に対する意欲が高いこと」が重要になります。
(参考文献:健康長寿教室テキスト第2版 国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター)
運動意欲が低い理由を考える
運動意欲が低い利用者さんのモチベーションを高めるうえで「なぜ、運動意欲が低いのか?」の理解が必要です。
私は、運動意欲が低い利用者さんを
① この運動が自分になぜ必要なのか分からない
② 運動自体は嫌いではないけどメニューが合わない
③ 本当に運動が嫌い
の3カテゴリーに分けています。
それぞれのタイプに対する対処方法を考える
① 運動の必要性が分からないタイプの利用者さん
その方がなぜデイサービスをご利用しているのかを把握することが必要です。「歩けるようになりたい」「家の中で自立した生活を送りたい」「家族の介護負担を軽減したい」など、利用目的・目標は様々ですので、そこの共有から始めます。共有できたら、「この運動がその目的・目標に向けて〜〜〜の理由で必要です」と普段の会話に交えながら運動を促していきましょう。機能訓練指導員に相談しながら進めてみるのも良いかと思います。
② メニューが合わないタイプの利用者
関節の可動域制限や筋力低下、麻痺などの影響で、他の利用者さんと同じ動きができない方は当てはまりやすいと思います。
運動メニューを立案している機能訓練指導員の方に対して、「お身体の状態に合わせて他にもっと良い運動はありますか?」と相談してみましょう。あるいは、メニューを変更ではなく、運動を行いやすい環境を整えるのも一つの手段となります。椅子を肘置きのあるタイプに変える、背中にクッションを入れる、足元に台を置くなど小さな環境設定を行うだけでも、運動を遂行しやすくなります。
③ 本当に運動が嫌いなタイプの利用者さん
私自身は、まだこのタイプの利用者さんに出会ったことはありません。まずは、上記の2つの視点で対応することが大切であると、日々感じています。
■最後に
運動意欲が低そうに見えて、実は「意欲」そのものが低いわけではなく他の要因で運動へのモチベーションが上がらないケースはたくさんあります。「なぜ、運動に前向きに取り組んでくれないのか?」を深く考察する習慣を持ち続けることをお勧めします。
原稿提供:株式会社PLAST 理学療法士 芝 俊紀
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