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仕事の任せ方

 前回の記事では「他者を通じて成果を出す」のが管理者の役割であることをお伝えしました。
そのことを考えると、管理者は「仕事の任せ方」を知らないと管理者としての役割を果たすことができません。管理者の方々の中には「仕事を任せること」の重要性は理解していても、実際には「仕事を任せること」ができない人も多いのではないでしょうか?
 今回は仕事の任せ方についてお話ししていきます。

仕事を任せるとはどういうことか?

「仕事を任せる」とは、他者(部下や関係者)に対して、目的と目標を明確に示した上で、一定の責任と裁量権を与え、具体的な実行の方法やプロセスを任せること。
管理者(上司側)には
・管理責任:任せた仕事がうまく達成されるように必要に応じて指導支援を行うこと
・結果責任:任せた仕事の最終的な責任

部下側には
遂行責任:任された仕事をやること
という責任があります。

仕事を任せるプロセス

 管理者の方の中には、一度部下に仕事を頼んだら、あとは成果物が出てくるまで一切関与しないという方はいらっしゃるでしょうか?
こんな極端な方は少ないのかもしれませんが、部下の仕事の処理能力に応じて管理者の皆さんは対応を変える必要があり、節目節目で指導や支援を行う必要があります。
「Aさんに仕事をお願いしたのに、期限までに終わってないじゃないか!」というようなこともあるかもしれません。しかしこのように部下のせいにしてしまっては、管理者は必要ありません。こんなときにはちゃんと期日までに成果物が完成するか適宜進捗状況を確認し支援することが管理者の仕事になるわけです。

仕事を任せる時の判断軸

 では部下にどんな仕事をお願いしたらいいかわからないときに上記の項目が指標になります。
部下全員が同じ能力ということはありませんから、「個人の力量」や「仕事の性質」 を踏まえて仕事を任せることになります。個々のスタッフの能力に合わせて、どのくらいの裁量範囲なら処理することができるかを考えながら調整していくわけです。裁量範囲が小さければ、管理者が想定した成果物が出てくる可能性が高く、裁量範囲が大きければ管理者が想定した成果物と異なるものが出てくる可能性もありますが、部下の成長の機会にもなり得ます。 この関係性ははあっちを立てればこっちが立たずのいわゆるトレードオフの関係になりますので、何を優先するかは各事業所のビジョンや管理者の教育方針次第です。

仕事の任せ方チェック

では今現在の管理者の皆さんの「仕事の任せ方チェック」をしてみましょう。

タイプ1:丸投げしていないか?
・部下の力量に関わらず、どんどん仕事を部下に任せる
・問題が発生しなければ、部下の仕事の進捗を確認することはほとんどない
→自分自身の仕事が極端に忙しく、部下の活動を見る余裕がないと思っていると、面倒な問題が発生してから面倒な事後処理に追われることも。

タイプ2:過剰介入していないか?
・部下には、常に報告・連絡・相談を細かく求める
・任せた仕事のやり方や進め方について、細かな指示や指導を行う
→「部下に任せたまま失敗することを避けたい」気持ちがありませんか?管理者の過剰介入が部下の成長を蝕んでしまう可能性も。

タイプ3:抱え込んでいないか?
・急ぎの仕事や重要な仕事は、人に任せず自分でこなす
・部下には本人が着実にこなせるレベルの仕事しか与えない
→「任せて失敗したくない」という意識が強すぎて、管理者以外の仕事も抱えていませんか?
「自分で仕事を片付けた方が早い」という考えが強いために、自分の仕事が増えすぎて首が回らなくなることも。

仕事を任せるメリットを理解して、適切に任せていこう!

適切に「仕事を任せること」は、管理職が自ら率いる組織やチームの成果を最大化するために必要不可欠。
管理者視点では、仕事を任せることによって生まれた自己の時間をより付加価値の高い創造的な業務に割くことが可能に。部下視点では、自ら主体的に行動する機会が増え、モチベーションのアップと潜在能力の発揮に。そして組織視点では、職員間の相互作用が活発化し、組織も活発化することになります。
管理者自身が事業所の仕事を何もかもを抱えて首が回らなくなる前に、適切に仕事を任せていくことが重要です。

今回の記事を踏まえて

・あなたは部下に仕事を任せるときに、部下の能力や意欲の状態を考えていましたか?仕事の成果と部下の成長のどちらにフォーカスしていましたか?
・あなたの仕事の進め方は、丸投げ・過剰介入・抱え込みの傾向はありますか?その傾向が出るのにはどのような気持ちや考え方がありますか?
・あなたが部下に仕事をより適切に任せることができたら、どのようなメリットが生まれますか?(あなた自身・チーム・会社など)


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