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インタビュー

2026.09.15

「面白くないとダメなんだ」

「面白くないとダメなんだ」
「オモロくないとダメなんだ」|デイモット インタビュー
DAYMOTTO INTERVIEW
人と想いをつなぐインタビュー

「オモロくないとダメなんだ」

人の役に立ちたい。
その先に生まれた、笑顔をつなぐ挑戦。
株式会社アイキャット 代表取締役CEO 西願さん
株式会社アイキャット 代表取締役CEO 西願さん

「僕は、バキバキの文系で、手に職もないんです」

インタビューの中で、西願さんは笑いながらそう話してくれました。 もともと医療職だったわけでも、歯科医療を志していたわけでもありません。

それでも、仕事の先で誰かが良くなっていることに喜びを感じ、 身近な人の変化に心を動かされ、介護の世界へ少しずつ足を踏み入れていった。

今回のインタビューで強く感じたのは、 PaTaKaRUSH(パタカラッシュ)という商品そのものよりも、その奥にある 「人の役に立ちたい」「笑顔を生みたい」という西願さんの思いでした。

01

「誰かの役に立っている」ことが、ずっと仕事の原動力だった

学生時代から「いつか自分で会社をやりたい」という思いがあり、 理系の研究者が持つ技術を、経営やマーケティングの面から支援し、 事業化できないかと考えたことが始まりでした。

その中で出会ったのが、歯学部の教官である歯科医師。 そこから歯科業界に入り、インプラント治療を支援するシステムや 画像診断システムなど、歯科医療に関わる事業を長年続けてきました。

最初から「歯科医療で世の中を変えたい」と考えていたわけではありません。 けれど、自分たちがつくったものが治療に使われ、 その先にいる患者さんの役に立っている。 その実感が、大きなやりがいになっていったといいます。

「20数年間、『なんで俺こんな仕事してんのやろ』って立ち止まる瞬間が、一回もないんですよ」

自分自身が直接治療をするわけではない。 それでも、自分の仕事の先で誰かが良くなっている。

「自分の仕事が、誰かの役に立っている」
その実感が、西願さんを動かし続けてきた。
02

ずっと横目で見ていた、介護の世界

歯科の仕事を続ける中で、高齢者の「口」の問題が見えてきました。

食べること。喋ること。 その機能が低下していく高齢者がたくさんいる。 西願さんたちは歯科の側から、その課題をずっと見ていました。

「最後まで自分の口から食べて、『ああ、美味しい』って笑ってもらいたい」

そんな思いがありながらも、 この時点ではまだ「介護業界に入っていく」と決めていたわけではありませんでした。

大きく状況が変わったのが、コロナ禍です。 歯科業界も大きな影響を受け、会社としても厳しい状況に置かれる中で、 「今、この社会で困っていることを解決できないか」と考え、 PCR検査のシステム開発などにも取り組んでいました。

03

「めっちゃ、おじいちゃんおばあちゃんになってるやん」

コロナ禍で、人と人が会うことが難しくなりました。 西願さんの義理のご両親は二人暮らし。 感染させてはいけないという思いもあり、 1年半から2年ほど、なかなか会えない時期が続いたそうです。

久しぶりに電話で声を聞いた時、 話すスピードが以前よりも明らかにゆっくりになっていた。

「言い方悪いんですけど、めっちゃおじいちゃんおばあちゃんになってるやんって」

そこで西願さんの中で、 これまで遠くから見ていた「オーラルフレイル」という課題が、 一気に自分事になりました。

  • 人と会わない。
  • 会話をしない。
  • 声を出さない。
  • 口を動かさない。

それによって機能が落ちていく。 西願さんは、その時の感覚を 「雷に打たれたような衝撃」と表現しています。

「これは、すぐにでもなんとかせんといかん」

データを見て「社会課題だ」と考えたのではなく、 身近な人の変化を目の当たりにした。

ここに、西願さんが介護・高齢者領域へ踏み込んでいく 大きな原点がありました。

INTERVIEW NOTE

ここで印象的だったのは、社会課題を「知った」から動いたのではなく、 身近な人の変化を目の前にして、放っておけなくなったことでした。 西願さんの話には、事業より先に「人」がある。その順番がずっと一貫しています。

PaTaKaRUSH(パタカラッシュ)のコンテンツイメージ
楽しみながら口を動かす「PaTaKaRUSH(パタカラッシュ)」
04

「やらされる訓練」ではなく、自分からやりたくなるものを

では、どうすれば口を動かしてもらえるのか。

「口を動かしてください」「発声してください」と言えば、 トレーニングはできます。 でも、それを毎日続けてもらうのは簡単ではありません。

そこで西願さんが考えたのが、ゲームでした。

「ゲームなら高齢者にも刺さるんじゃないか」

お口のトレーニングを、 「自分からやりたくなるもの」に変えようと開発を始めました。

そして、ここからが西願さんらしいところです。

大切にしたのは、
「オモロさ」でした。

せっかくゲームにするなら、くすっと笑ってもらいたい。 「これ見て」と誰かに言いたくなるものにしたい。 そこから会話が広がってほしい。

技術的な機能だけではなく、 人と人との間に何かが生まれることを考えていました。

05

静かだった会場に、拍手が起きた

試作品を持って、初めて介護施設で体験会をした時。 西願さんは、そこで感じた空気に驚いたそうです。

利用者さんに覇気がない。 スタッフの方にも、どこか元気がない。

施設によって当然違うという前提はありながらも、 歯科医院の活気ある環境を長く見てきた西願さんにとって、 その「空気の重さ」は衝撃でした。

「これ、大丈夫かな」

そんな気持ちで体験会を始めました。

すると、一人がゲームをする。 また一人がやる。 二人、三人と続いていくうちに、自然と拍手が起こり始めた。

一緒に声を出す人が現れ、 気づけば少し離れて見ていたスタッフも笑って、手を叩いていたそうです。

「やっぱり間違ってなかったんや」

そして続けます。

「せっかくやから面白くしよう、じゃなくて、オモロくないとダメなんだ」

そこからは「もっとオモロくしたろう」と、 さらにアクセルを踏んだそうです。

PaTaKaRUSH(パタカラッシュ)の紹介図
「オモロさ」を入口に、発声や会話につなげていく仕掛け
「おもしろい」は、付加価値ではない。
人が動き、笑い、会話が生まれるための、大切な機能なのだと思います。
06

利用者さんが笑えば、スタッフも笑う

介護の現場にいると、 利用者さんを笑顔にすることが簡単ではない日もあります。

スタッフが一生懸命盛り上げようとしても、うまくいかないこともある。 全員で同じ体操をしても、それが合う人もいれば、 自分のペースでやりたい人もいます。

そんな中で、一つの「きっかけ」があるだけで、 空気が変わることがあります。

誰かが笑う。
隣の人がそれを見て笑う。
スタッフもつられて笑う。

西願さんが作ろうとしているのは、 もしかすると単なる口腔機能のトレーニングツールではなく、 最初の一つの笑顔を生み出す「きっかけ」 なのかもしれません。

実際、西願さん自身も、 利用者さんだけではなく、介護現場で働く人たちのことを気にかけています。

介護の世界に入って感じたのは、 大きなやりがいと同時に「しんどさのレベルが違う」ということでした。

利用者さんが自発的に取り組めることで、 スタッフの付き添う時間が少し減る。 現場の負担が少しでも軽くなる。

「この業界にせっかく入らせていただいて、何かやる限りは、そういう貢献も考えていかんとあかんな」

そこには、商品を売るためというよりも、 この業界に関わった以上、何か役に立ちたいという使命感 を感じました。

DAYMOTTO VIEW

利用者さんが笑えば、スタッフも笑う。 その逆もきっと同じです。現場の空気を変えるのは、 大きな仕組みだけではなく、こうした小さな「きっかけ」なのだと思います。

07

思いがあって、その先に「パタカラッシュ」がある

今回、西願さんのお話を聞いて感じたのは、 最初から「介護業界で大きなことをやってやろう」と 入ってきた人ではない、ということでした。

歯科の仕事をしていた。
そこで人の役に立てる喜びを知った。
コロナ禍で身近な人の変化に衝撃を受けた。
何とかしたいと思った。
そして介護現場へ行ってみたら、 目の前で利用者さんとスタッフが笑う姿を見た。

だから、もっとおもしろくしたいと思った。

一つひとつの出来事の先に、今があります。

その思いから生まれたのが、 口腔機能トレーニングをゲームにした「PaTaKaRUSH(パタカラッシュ)」です。

PaTaKaRUSH(パタカラッシュ)ロゴ
パタカラッシュを知ってほしいというよりも、
その前に、西願さんという人を知ってほしい。

人の役に立ちたい。
どうせやるなら、おもしろくしたい。
利用者さんに笑ってほしい。
その笑顔を見たスタッフにも笑ってほしい。
身近な人にも、最後まで美味しく食べ、話し、笑っていてほしい。

全部が、どこか一本につながっています。

西願さんが目指しているのは、 最後まで自分の口で美味しく食べ、 健康に喋り、会話を楽しめる人を増やしていくこと。

その未来に少しでも自分たちが関われたら、と話していました。

大きな言葉だけで業界を変えようとするのではなく、

目の前にいる人が、少し笑う。
誰かと、少し喋る。
「これ、オモロいな」と言う。

その小さな変化を、本気でつくろうとしている。

介護の現場を変えるきっかけは、 案外こういう一つの笑顔から始まるのかもしれない。

そんなことを感じたインタビューでした。

PaTaKaRUSH(パタカラッシュ)について

楽しみながら口を動かし、発声や会話のきっかけにつなげる口腔機能トレーニング。 「オモロさ」を入口に、自発的な参加を促すことを大切にしています。

PaTaKaRUSHの詳細を見る

PROFILE

株式会社アイキャット 代表取締役CEO 西願さん
西願雅也
株式会社アイキャット 代表取締役CEO

大阪大学大学院経済学研究科修了後、大阪大学歯学部の教官と共に 大学発ベンチャー株式会社アイキャット(iCAT)を2003年に設立し、 代表取締役CEOに就任。その他、複数の大学発ベンチャーの設立・経営に関与し、 大学での講義などを通じて後進の育成にも従事している。

PaTaKaRUSH 詳細を見る

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